水溶性切削液が劣化してしまう4つ要因とは?
水溶性切削液が劣化してしまう4つ要因とは?
水溶性切削液が劣化してしまう要因には、大きく4つございます。
1.微生物
2.切りくず
3.他の油の混入
4.希釈水
1.微生物
水溶性切削液には、下記のような箇所から微生物(バクテリア、酵母、黴)が混入してしまいます。
・加工物
・工具
・加工機
・タンク
・希釈用の水中
・各種添加剤
・残留クーラント
・前工程の加工油の持ち込み
・作業者の衣服
・塵やホコリ
・空気中(浮遊菌の落下等)
切削液は、ポンプによって常に循環し、濾過されることで何度も使用され、絶えず外気と接します。そのため、どうしても微生物の混入が起こりやすくなってしまいます。水溶性切削液は、一般的に30°C~35°C程度で使用されることが多くなりますが、この温度
は微生物が繁殖しやすい温度と言えます。微生物は、水溶性切削液中の有機成分を栄養源として繁殖します。すると水溶性切削液における切削油剤の濃度低下が発生してしまい、本来の切削油剤の機能が果たせず、さび止め性の低下や、切削性の低下につながってしまいます。また微生物の繁殖は切削液の性能低下にとどまらず、劣化臭の発生による作業環境の悪化を招いてしまいます。
2.切屑
切削加工を行うことにより切屑がクーラント中に混入すると、切りくずに油剤成分の一部が吸着されてしまい、濃度低下につながってしまいます。一方、クーラント中に切屑が長期間滞留すると、切屑からマグネシウムや亜鉛、銅、コバルトの金属元素がクーラント中に溶出してしまいます。この溶出した金属元素は、油剤成分である脂肪酸と反応して、水に不溶な金属セッケン、いわゆるスカムを生成します。このスカムがクーラントの分離や不安定化を引き起こし、水溶性切削液の劣化を招いてしまいます。
3.他油の混入
他油とは、下記のような水溶性切削油剤以外の油です。
・加工機の作動油、潤滑油
・加工物に付着しているさび止め油、熱処理油、洗浄油
・不水溶性金属加工油(切削油を含む)
このような他油がクーラントに混入すると、クーラント上に浮上し、この浮上した他油に水溶性切削の成分が移行してしまいます。これが水溶性切削液の濃度低下につながってしまいます。逆に、他油の成分がクーラントに溶出すると、様々な劣化トラブルにつながってしまいます。例えば、塩素系添加剤を含有する金属加工油から塩素分が溶出すると、さび止め性の低下につながってしまいます。また、カルシウムやバリウムなどの金属元素が溶出すると、クーラントの安定性の低下を引き起こします。さらにリンが溶出すると、水溶性切削液の劣化が進行しやすくなります。
4.希釈水
水溶性切削液の劣化を防止する方法とは?
このように水溶性切削液は、様々な要因により劣化してしまいます。クーラントの劣化を抑えて寿命を延ばすには、下記のように適正な油剤の選択し、管理することが重要です。
・加工方法や希釈水の性状に適した水溶性切削油剤を選択する
・抗菌性の高い切削油剤を使用する
・水溶性切削油剤を適正濃度で管理する
・pHを適切に管理する(pH向上剤等)
・クーラントを冷却して微生物の増殖を防ぐ
・切屑や他油を定期的または常に除去する
・異物混入を防止する
・防腐剤や添加剤、殺菌剤の投入する
・更液時に徹底的に清掃、殺菌する
・適切な水質の希釈水で希釈する
上記の中で、多くの加工現場の方は、異物混入や最適な切削油剤選定を意識されていらっしゃいますが、抜けがちな対策方法が、「適切な水質の希釈水で希釈する」方法です。クーラントはおよそ90%の希釈水から構成されています。そのため、水を変えるだけでも、とても大きな劣化防止効果が見込めます。
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